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「2007」特別対談 DaizyStripper×HERO

2016.09.09 UP

 

――このたびDaizyStripperが主催する2MAN LIVE[2007]に、HEROも参戦することが決定致しました。まずは、両者が知りあった頃のお話を伺いたいと思います。皆様、当時の記憶はございますか?

YU-TA:メチャメチャありますよ。HEROでの活動を始める以前に、僕はRuvie(現BugLugの弦楽器隊が在籍していたバンド)のローディをやっていたことがあるんですね。その当時、デイジーのメンバーが前にやっていたバンドと、Ruvieはあちこちでタイバンをしていたので、僕はその頃に皆といろんなところで出会ってます。

Rei:最初にYU-TAと俺がちゃんと話をしたのは、確かO-WESTの階段だったよね。ちょうどYU-TAが燕(現BugLug)のベースを拭いている時に、「ベース弾いてるんでしょ?バンドはやってるの??」って、声を掛けたんですよ。

 

――YU-TAさんは、当時ローディとしてのお仕事と並行して、ご自分のバンド活動の方もされていたのですか?

YU-TA:いや、まだでした。上京して来てからまだそんなに時間が経っていなかったのもあって、ひたすらローディの仕事とバイトの日々でしたね。

Rei:ベーシスト同士だし、YU-TAとはそのときに楽器のいろんな話もして、「早くバンドを始められたら良いね」って言ってたんですよね。そして、そのうち、HEROっていう新しいバンドが始動したって聞いて、そこにYU-TAがいたことに俺はびっくりしたんですよ。あの頃は、まだ普段から連絡をとりあう仲というわけではなかったから、「あれ?あのとき、ベースを一生懸命磨いてたコじゃん!」って(笑)。

YU-TA:そういう意味で、HEROのベーシストとしてタイバンをさせていただくようになってからは、「先輩とついに一緒にやれるようになったのか」という感慨のようなものが、自分的にはちょっとありましたねぇ。

 

――ちなみに、同業者であるYU-TAさんの眼からみると、Reiさんはどんなタイプのベーシストとして映りますか。

YU-TA:昔と今じゃ、違うところがある感じがしますね。今の方が指でベロベロベロ!っていうのが凄いです。

風弥:うーん…文字だけになっちゃうと、なんかヒワイな感じになっちゃいそう(苦笑)。

YU-TA:昔は、ピック弾きでしたよね?

Rei:だったね。要は、昔と比べて指での速弾きとかアグレッシヴなところが出て来たよ、っていうことを言いたいんでしょ?昔から知ってるんで分かるんですけど、YU-TAにはこういうおバカなところがあるんですよ。そこがまた、俺は好きなんですけど(笑)。

YU-TA:いやー、音のことを言葉で表現するって難しいんですよねぇ(苦笑)。

 

――では、Reiさんから観たYU-TAくんは、どんなベーシストなのでしょう。

Rei:なんか、ロックだなと思います。機材の話をふたりでしていても、基本的に彼はアン直(エフェクター等を介さずアンプに直で楽器を繋ぐこと)が好きなヤツなんです。かけたとしても、サンズ(サンズアンプ)くらいですからね。そういう、一音そのものに思いっきり魂をかけるプレイヤーなので、ベーシストとして見たときにはその潔さが男らしくてカッコ良いな、と感じますね。

YU-TA:多分、俺はいろんなエフェクターとかを足下に並べちゃうと、ライヴで踏むタイミングを間違えちゃうと思います(苦笑)。

 

――プレイヤーによっては、テックさんやそれこそローディの方に、ペダリングをほぼ任せている方もいらっしゃいますけれどね。

YU-TA:それがですね。自分はローディとしていろいろ任されていたくせに、自分のこととなるとダメなんですよ。ライヴのメインで使う楽器に関しては、弦を換えるのも自分でちゃんとやりたい派なんです。細かい話ですけど、弦の巻き幅とかも自分の中でベストな間隔が決まっているので、人にやってもらうんじゃダメ。

Rei:わかる、その気持ち。俺もそう。自分で使う楽器のことは、なるべく自分で全部やりたいよね。

風弥:(無言で深く何度も頷く)

yusuke:(無言で深く何度も頷く)

 

――おぉ、全員が同意ですか。

yusuke:僕も、チューニングとかの細かいところは何時も自分でやってます。

Rei:機材とか楽器って、ミュージシャンにとっては基地みたいなものなんだと思います。自分の楽器にそれだけ愛着がある、っていうのは良いことなんじゃないですかね。

YU-TA:僕なんか、楽器どころか部屋で楽器のケースだけを目の前に置いて、それを肴に美味しくお酒をのむことも出来るくらい、自分の持ち物には愛着がありますよ?

Rei:えーと…ごめん、ちょっとその感覚はよくわかんない(苦笑)。

YU-TA:あれ。おっかしーな(笑)。

 

――話は前後しますが、ドラマーチームのおふたりの間に面識が生まれたのは、今を遡ると何時頃のことだったのでしょうか。

風弥:HEROが始まった頃だとyusukeくんはまだいなくて、それまでドラマーはサポートの方が何人か出入りしていたじゃないですか。そこに遂に正式なメンバーが入ったって聞いて、どんなコが来るのかな?と思っていたら、凄いキラッキラしたドラマーだったので、僕は「おぉ!」ってなりました(笑)。

Rei:そうそう。凄いフレッシュな感じがしたよね(笑)。

風弥:これは良いバランスのリズム隊になったなぁ、って思ったんですよ。

 

――yusukeさん御本人は、“キラッキラ”と評されてどんなお気持ちでしょう。

yusuke:まぁ、それだけ若かったっていうことでしょうね(笑)。

Rei:今も全然、変わんないよー(笑)。

yusuke:なんかこう…僕からすると、自分はどうしても“後から入ったメンバー”だったので、皆に対してはどうしても「先輩たち凄いな」っていう感覚が強かったんですよ。実際、DaizyStripperの皆さんは演奏がほんとに上手い方々ですしね。だから、最初のうちは「風弥さんみたいな上手い人に、僕なんかが話しかけちゃっていいのかな?」みたいな気持ちがちょっとありました。そう思いながらも、結局はいろいろと話しかけてはいたんですけどね(笑)。

風弥:あの頃のyusukeくんは俺に対してだけじゃなく、とにかくいろんな人に話を聞こうとしていた印象があるな。凄い研究熱心で、常に周りを観察していたし、気になることがあると「これはどうなんですか?」ってすぐ聞いてたもんね。キラっキラしてるおまけに、向上心のカタマリなのか!っていう、ある種の驚きが僕としてはありましたよ。

yusuke:風弥さん、聞いたらめちゃくちゃ丁寧に教えてくれたんですよ。僕の中では、その時一気に距離が縮まりました(笑)。

風弥:俺からすると、聞かれる側も勉強になるんだよね。自分とは違うアプローチをしているドラマーと知りあえたことで、僕にとっても良い刺激になっているなって思います。会うたびに「こんな風に変わったんだ」とか、「前よりここが成長してる」って、何時も気になっちゃいますから(笑)。HEROとタイバンしてyusukeくんと会うたびに、「ヤバい、俺ももっと頑張んなきゃ!」っていう気持ちになれるんです。yusukeくんは、僕にとってそういう存在ですね。

yusuke:タイバンの機会も、めっちゃ多かったですもんね。

YU-TA:うん、かなりやってる。

 

――そのような場合、DaizyStripperとHEROがバチバチと火花を散らしあうような雰囲気になることはありました?

風弥:いや、全然それは無かったですね。むしろ、楽屋だと誰がどっちのバンドなんだか分かんないくらい、もしくは全員が同じバンドなんじゃないか?っていうくらい自然に混じりあってました(笑)。多分、自分のところのメンバーより、お互いの同じパート同士で話しあったりしている時間の方が長いくらいだと思います。

yusuke:確かに(笑)。

 

――同じパート同士というあたりは、さすがですね。

風弥:ほかのバンドさんとだと必ずしもそうなるわけじゃないんですけど、HEROとデイジーの場合は何時もそうなるんですよ。

Rei:同業者同士だと、いろいろマニアックな話が出来て面白いんだよね。

YU-TA:Reiさんとの話もけっこう偏った内容だとは思うんですけど、でもお酒が入った時なんかはそれなりにアホな話なんかでも盛り上がるんですよ。

Rei:アホさ加減でいったら、YU-TAはベーシスト会の中でも一番なんじゃない(笑)?

YU-TA:よく言われます。「今まで会った人間の中で、オマエが一番キテる」って(笑)。

風弥:そこはドラマーの僕からみても、そう思います(笑)。

yusuke:あははは(笑)!

YU-TA:音楽的な意味での一番じゃない、っていうのが残念なところですよねぇ(苦笑)。その点、ドラマー同士は飲みの場でも“ネジ1個”の話で盛り上がってますからねぇ。ふたりとも、マジメなんだなと思います(笑)。

 

――ネジ1個ですか…凄いですね。

風弥:話としては、いかにライヴをより良くしているかっていう話題から始まって、「チューニングはどうしてる?」っていうことになり、最後は「ネジはアレがいい」とか、そういうところに行き着くんですよ。

yusuke:そういう風弥さんの話を聞いていて、僕は「えっ!そんなに良いネジがあるんですか!」ってなるわけです(笑)。

風弥:楽屋でお互い話に夢中になっちゃって、たまに「本番5分前です!」ってなることもありますね。

 

――実に貴重な交友関係ではないですか。

Rei:デイジーとHEROではそもそもメンバー構成が違うだけに、バンドとしての違いがいろいろとあるからね。しかも、デイジーは一時的に4人になったこともあるから、話をしていると非常に面白いんですよ。HEROのこの、4人でしっかりとひとつの世界を作り出している感じが僕はロックでカッコ良いと思います。

風弥:凄く洗練されてるよね。あのシンプルでストレートなアンサンブルがガンガン前に出てくる感じが迫力あるし、タイバンするたびに何時も刺激を受けてます。これだけ回数が多くても、脅威みたいなものを毎回感じるくらいなんです。

 

――HERO側からするといかがですか?

YU-TA:もちろん、僕らもそうですよ!タイバンしてライヴを観せてもらうたびに、こちらはもはや脅威を通り越して恐怖を感じてますもん!!

風弥:それはナイでしょ?

YU-TA:いやほんとに。「うわー、この次には出たくねぇ~」ってなりますから。「やりづらいわー」って(苦笑)。

風弥:だったら、おんなじことを思ってるんだ(笑)。「めっちゃ盛り上がってる…!これはヤベぇ!!」ってなるからなぁ。よく、ウチは皆で話してるんだよ。「あのHEROの一体感は何なんだろうね?」「お客さんたちの声の大きさとか、瞬発力凄くない?」って。ミーティングの議題にも上がったりしてる。

 

――だとするならば、このたび開催される2MAN LIVE[2007]では、両者がここまでに繰り広げてきた歴戦の成果を、あらためて堪能させていただきたいものです。

yusuke:まずはデイジーさんに負けないように、僕らも個々のレベルを上げながら必死に食らいついて行かないといけないな、と思ってます。

YU-TA:僕らは、とにかくメンタルの強さで勝負していきたいですね。というのも、このところの僕らはちょっと違うジャンルの方とのライヴですとか、かなりアウェーな状況も経験して来ているんですよ。おかげで、ハートの強さだけはだいぶ成長したと思うので、今回はそこを武器にしていくつもりです。

Rei:ハートはもともと強いじゃん!

YU-TA:違うんですよ、もっと強くなったんです(苦笑)。だって、やっぱり正直なことを言うと演奏のクオリティ的な面では、なかなかデイジーに勝つのは難しいだろうな、と思ったりもしますからね。そうなった時に何処で勝負をしていくか?となったら、もうこのハートの強さしかないんですよ。

 

――そんなHEROの戦いぶりを受けて立つ側のDaizyStripperは、どのような策を講じていくことになるのでしょうね。

風弥:お互いが2007年に始動した頃、周りには本当にたくさんのバンドがいたんですよ。そこから5年が経ち、もうすぐ10年になろうかという今、気が付いたら同期のバンドはかなり限られた数になっていますからね。今回、[2007]の企画を起ち上げた時には「もう、これしかいないんだ」って切なくなったところがあった反面、約10年ずっとこの業界で闘って来ているバンドたちは、絶対にタダモノではないんですよね。

 

――今回のメンツは、いずれのバンドも良い意味でクセがあるバンドばかりですものね。

風弥:そういう意味では、お互いに同じだけの年月を経て成長してきた手強いバンドたちと、こんな風に今あらためて2マンで思いっきりぶつかれるというのはとても幸せなことだし、きっと来てくれる人たちにとっても特別なライヴになっていくんじゃないかな、という予感がしてます。

Rei:バンドを続けていくことの楽しさや喜び、そして苦しみや葛藤も全て知っているからこその強さ、というのかな。いろんなことを経験してきて確立されてきた自分たちのバンドとしての核というものを、[2007]ではライヴを通して皆に感じてもらえるようにしていきたいですね。そして、そういう場でHEROをはじめとした同期のバンドと一緒にやれることは、凄く嬉しいしとても光栄です。とりあえず、YU-TAがメンタルの強さで来るっていうんなら、俺はその倍の強さでハネ返していこうかと思います(笑)。

 

――なるほど。ここまでは、各人から素敵なお言葉がたくさんいただけましたので…ここはひとつ、別の角度からの質問も投げてみたいと思います。お互いのバンドに対して、敢えてのダメ出しをしてみていただけますか?

Rei:YU-TAの私生活についてなら、すぐ思いつくんですけどね(笑)。

YU-TA:えっ!こういうところに書けない話とかはヤメてください、お願いします(笑)。

風弥:なんかあるかな?

YU-TA:その話題とはあんまり関係ないですけど、この日ってセッションとかはあるんですかね?

Rei:まだ詳細は未定。でも、それいいね。

風弥:うん、やれたら良いよね!

YU-TA:ただ、うちのヴォーカルはなかなかリハに来ないですよ?来てもけっこうすぐ帰っちゃうし(苦笑)。

 

――JINくんはマイペースなのでしょうね。

YU-TA:とかじゃなくて、単にダメ人間なんだと思います(笑)。

yusuke:団体行動とかが、苦手みたいで。

YU-TA:いわゆる社会不適合者、っていうやつですね!

 

――失礼を承知で申し上げますが、よくそれで9年も続いてきましたねぇ。

YU-TA:僕たち、苦労してるんです(笑)。

 

――もしや、HEROの弱点はメンバーの人間性というところにあったりして(笑)?

YU-TA:あー。でも、デイジーも意外と人としてはイロイロありますよ?

Rei:お互い様ってことか(笑)。

yusuke:でも、ダメ出しとかってある?思いつかないなぁ。

YU-TA:…ある!思い出しましたよ。なおちゃんがモニターに水をかけるのは、ほんとアブない(笑)。

風弥:そこかぁー。

Rei:ごもっともだねぇ。

風弥:実際、そういうのでタイバンの方や会場の方にご迷惑をおかけしたことが何度もあるんですよ。イベントでモニターに水をかけ、ギターを壊し、みたいな…。

Rei:その点に関しては、なおにはキツく言っておきます!

YU-TA:あとは、PAさんにも気をつけてもらった方が良いかもしれないですよ?

 

――それはどういう意味ですか。

風弥:ウチとHEROは同じPAさんなんですけど、その人がまたなかなか凄い人で(笑)。

YU-TA:あまりの爆音を出し過ぎて、前にライヴハウスのスピーカーをふっ飛ばしたことがある人なんですよ(笑)。

 

――なんという、ロックなエビソード!

Rei:そういえば、そのPAの方ってHEROに紹介してもらったんだよね。良い音を出す人だからやってもらいたいなとは思いつつも、なかなかコンタクトが取れなくて困っていたことがあったんです。そんな時に、大阪でHEROがライヴをやっていたことがあって、そこで直接引き合わせてもらうことが出来たんですよ。

YU-TA:どうやら、そのPAさんにやってもらう時と、そうじゃない時では会場で聴く音に相当の差があるみたいですね。

風弥:スピーカーをふっ飛ばすか、飛ばさないかのラインでやってるくらいだから(笑)、迫力が違うんだろうなぁ。

yusuke:ウチとデイジーの出る[2007]は、ずっと爆音の日になるわけですね(笑)。

風弥:せっかくの2マンだし、今回は普段のタイバンのライヴとはちょっと違うこともやりたいよね。たとえば、お互いに始動当初にやっていた曲を演奏してみるとかはどう?

 

――それは興味深いですね。聴きたいです。

YU-TA:面白そう。ただ、まずはウチのヴォーカルを説得しなきゃ…(笑)。

Rei:そうか。HEROって、その日にいきなりセットリストを変えたりとか、よくしてるもんね。必ずこれをやります、っていうのが難しいのかな?

YU-TA:アレかコレかソレをやる予定、っていう感じのセットリストのことが多いんですよ。だから、ワンマンとかになると普通の倍以上の曲数を覚えないといけなくなるから、何時もタイヘンなんです。

風弥:二択のセットリスト、HEROと会って初めてみたよ。「なんだこれ!」って思ったもん。

Rei:その日、その時の気分によって変わるってことだよね。

yusuke:凄い時は四択もありますよ。しかも、結局はその四択以外の全く別の曲をやったり、っていうこともありました(笑)。

風弥:ドラマーの場合、シーケンスのデータをとっさに呼び出すのとか焦んない?一体どうやってんの??

yusuke:片手でシンバルを鳴らして間を引き伸ばしながら、もう片手で必死に呼び出すしかないです。

風弥:あの姿は、ライヴで観るたびに「アイツ、マジすげぇー!」ってなるよ。俺だったら、きっと心臓もたない(笑)。

Rei:さすがにそこまでの対応力は、ちょっと無いかもなぁ(苦笑)。

YU-TA:そういう意味でも、ウチは皆ハート強いんです。どうぞ、今回も皆さんスリリングなライヴをお楽しみください(笑)。

 

Interview/杉江 由紀(YUKI SUGIE)


―「2007」 DaizyStripper×HERO 公演詳細―

【日程】11/9(水)
【会場】TSUTAYA O-WEST
【出演】DaizyStripper/HERO
【開場/開演】18:30/19:00

【料金】前売¥4,500 (税込) 当日¥5,000(税込)/オールスタンディング
※入場時ドリンク代別途必要

【一般発売日】9/3(土)

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【備考】営利目的の転売禁止/未就学児童入場不可

【公演に関するお問い合わせ】DISK GARAGE 050-5533-0888(平日12:00-19:00)